3/7 転倒事故の予防策

活き活きとした暮らしの中でとても大切だと思うことは、考えや行動の自由だと思います。たとえ、それが認知症による少し誤った判断によるものだとしてもです。
自分のことについては自分で決めることのできる自由は「生活の質」の根本を支えるものだと考えています。
しかしながら、行動についての自由は同時に、転倒や転落といったリスクも増やすことになります。若い頃ならば、それはあたりまえのことで、運動量が多いほど転ぶこともあるけれど、擦り傷か打ち身程度でさほど問題にはなりません。
ところが、高齢になると転倒や転落は骨折という大事故に結びつきやすく、しかも最も生じやすい大腿骨の根本(頸部)の骨折では、長期間の治療が必要な上、身体や認知機能に廃用性の増悪を引き起こしやすくなります。
「やまぼうし」でもこれまでに転倒事故が起こっています。
私たち職員にとって転倒・転落予防、そしてもし転倒・転落が起こっても骨折等の大事故につながらないようにすることは最も重大な課題になっています。
本日、その一環として、転倒したときの衝撃吸収マットと大腿骨の周囲にパッドを装着して、大腿骨を保護するヒップ・プロテクターについて検討を行いました。数種類の商品を業者からお借りして、有効性や装着感などについて採用できるかどうかを議論しました。
衝撃吸収マットについては、衝撃吸収の良いマットは総じて厚みがあり、マットに足を引っかける可能性が考えられることから、使用目的を絞り込む必要がある、ということになりました。
ヒップ・プロテクターの問題は、対象となる人に装着して頂けるか? ということでした。下着式のものは、ヒップ回りが大きくなるため大きめのスラックスなりパンツに換えて頂く必要があるかもしれません。また、ヒップ回りの違和感も多少あるようです。スラックスの外側から装着するものは脱着が簡単にできますが、ファッション的にどうか? とういう問題と、ご自分で外してしまわれることがあるかもしれない、ということでどれもいくつかの不安材料が残りました。そして何よりもどれも価格が高いことが一番に頭を悩ませる問題でした。
それでも、転倒・転落予防をしていても転倒・転落した場合に、重大事故にならないようにするための事故予防策がどうしても必要です。今回の検討を踏まえて、できるだけ早期に対策に取り組みたいと考えています。